竜骨、肋材、外板、甲板、大砲、マスト。船が順に組み上がっていく場面を、言葉で AI に頼む。@Ayu_AI_0912 さんが公開したのは、Opus 5.5 と Blender に海賊船の図面と動画を作らせた依頼文(プロンプト)の全文です 1。
できあがった動画は、まず投稿で見てください。
Opus5.5 × Blenderで作ってみた
— アユネオ (@Ayu_AI_0912) 2026年10月10日
――――
めっちゃかっこいいじゃん!
▼プロンプト▼
架空の海賊船(17世紀のガレオン船風・3本マスト・船名なし)について、
CAD図面と Blender 動画を作ってください。
【図面】2D の DXF のみ(3Dモデルの書き出しは不要)。単位 mm、A2 の図枠と表題欄つき。
1.… pic.twitter.com/Ra1tGVtQ6Z
本人は「Opus5.5 × Blenderで作ってみた」と書いています 2。ここで読みたいのは出来上がりよりも、依頼文の側です。AI に 3D の図面と動画を頼むとき、何をどこまで書いているのか。頼み方の設計を、順番に見ていきます。
図面と動画が、同じ寸法を読む
依頼の出発点は、架空の海賊船の CAD 図面と Blender の動画を作ってほしい、というものです 3。図面は 2D の DXF だけで、単位は mm、A2 の図枠と表題欄つきと指定しています 4。特記事項には、架空の船のイメージで実在の船の図面ではない、と書くよう求めています 5。
設計のかなめは寸法の持ち方です。寸法は Python の形状モジュール1つで決め、図面と動画の両方がそれを読み込む、とプロンプトで指定しています 6。
図面を描く係と動画を作る係が別々に寸法を持つと、どこかで食い違いかねません。この依頼文は、元データを置く場所を1つにして、図面と動画の両方に同じものを読ませる構成です 6。人に仕事を頼むときの「正本をそろえる」と同じ考え方を、AI への依頼文に最初から書いておく。ここがこの作例の一番おもしろいところです。
組み上がる順番まで書く
動画の仕様も細かく書かれています。Blender の EEVEE で、1920×1080・24fps、本編20秒+ロゴ3.5秒、音つきの MP4 です 7。
場面の順番も指定されています。船は竜骨 → 肋材 → 外板 → 甲板 → 大砲 → マスト → 帆桁 → 索具 → 帆の順に組み上がるように、と依頼文にあります 1。続く場面として、紙が消えて海が満ち、船が浮かび、夕焼けの全景へカメラが引く場面も指定しています 8。
どれも「かっこいい海賊船の動画を」とは頼んでいません。何を・どの順で・どう見せるかを、カメラの動きまで含めて言葉にしています。AI に任せるほど、頼む側の仕事は「絵を描くこと」から「手順を設計すること」へ寄っていくようです。
音も、外部素材なしで Python から
もうひとつ目を引くのが音です。外部素材を使わず Python で合成する、とプロンプトで指定しています。船乗りの歌、木槌、帆、波、かもめ、船鐘、大砲まで、全部です 9。素材を探して貼る代わりに、音もコードで作る。図面や映像と同じく、作業の全体をひと続きの流れにそろえる頼み方です。
本番の前に、確かめて、聞いてもらう
「進め方」の節も読みどころです。
- 図面のプレビュー画像を目で見て、文字の重なりを直すよう指示しています [[C192]]
- 本番の前にテスト静止画を数枚描いて確認するよう指示しています [[C193]]
- 本番レンダーは軽い設定で、PC を休ませながら回し、始める前に所要時間を伝えて了承を取るよう指示しています [[C194]]
完成してから直すのではなく、図面は図面の段階で、映像は静止画の段階で確かめる。本番のレンダーを走らせる前に、かかる時間を伝えて了承を取らせる、という手順です 10。この確認のために、画面でテスト静止画や図面のプレビューをじっくり見られると助かりそうです。
「自分では一度も触らない」という遊び方
同じ方向の試みは、ほかにもあります。@Yokohara_h さんは、Blender を自分では一度も触らずに、AI だけで Blender のシーンを作るテストの途中経過を投稿しました 11。
Blenderを自分では一度も触らずにAIのみでBlenderシーンを作るテスト途中
— Hirokazu Yokohara (@Yokohara_h) 2026年10月9日
モデリングも含めてAIのみという縛り
なるべくクオリティ出るようにやり方組み合わせた pic.twitter.com/jRO3jNBtKR
モデリングも含めて AI のみという縛りで 12、なるべくクオリティが出るようにやり方を組み合わせた、と本人は書いています 13。どの AI を使ったかは投稿に書かれていません。
Opus5.5+BlenderMCPでAIだけで自動生成した3D ムービーです。#Claude #Blender pic.twitter.com/Rn244GRY85
— 小阪淳 (@KOSAKA_Jun) 2026年10月12日
@KOSAKA_Jun さんは、Opus5.5 と BlenderMCP で、AI だけで自動生成した3D ムービーだと投稿しています 14。投稿の本文は短く、手順や環境は書かれていません。
仕上げのコツは、別の記事で
「頼んだあとに、どう綺麗にするか」には、@KanaWorks_AI さんのチュートリアルがあります。本人は、Opus 5.5 に Blender を丸投げしても、だいたい「それっぽい」で止まると書き 15、効いたこととして、AI に自分のレンダーを見せて数字で測らせることを挙げています 16。
Opus 5.5 にBlenderを丸投げしても、
— KANA|東京AI映像 (@KanaWorks_AI) 2026年10月10日
だいたい「それっぽい」で止まります。
そこから本当に綺麗にするまでに効いたことを、全部出します。
・AIに自分のレンダーを見せて、数字で測らせる
・採点は、作っていない別のAIにやらせる
・落ち葉は本物の落ち方を調べさせる… pic.twitter.com/d7CDyeYHx3
採点は作っていない別の AI にやらせる、というコツもあります 17。詳しくは、同じ投稿を軸にした AI エージェントに Blender を任せる記事 で読めます。
AI と Blender をつなぐ仕組みの一例
Blender を AI につなぐ仕組みの一例に、MCP for Blender(旧 blender-mcp)があります。GitHub の README には、Blender を LLM につなぐものだと書かれています 18。AI が Blender の Python を直接書く 19、レンダーも使って AI が自分の作業を確かめる 20、といった特徴が挙げられています。Blender 公式ではない第三者の連携で 21、ライセンスは MIT、PyPI のパッケージ名は mcp-for-blender に改名されています 22 23。
@KOSAKA_Jun さんの投稿は「BlenderMCP」と書いていますが 14、どの実装かは書かれておらず、上の MCP for Blender と同じものとは言えません。@Ayu_AI_0912 さんと @Yokohara_h さんの投稿の本文には、Opus と Blender を何でつないだかは書かれていません。
頭脳はクラウド、Blender は手元
分担を整理しておきます。Claude Opus 5.5 は、公式が示す提供先が Claude Platform や Amazon Web Services などのクラウドです 24。手元で動かせるのは Blender の側で 25、Blender は GPL で公開されています 26。Windows 11 などに対応します 27。
作例の投稿には、レンダーをどの PC でやったかは書かれていません。分かるのは、依頼文に「PC を休ませながら回す」とあることだけです 10。本番レンダーの待ち時間と、PC への負荷。この感覚は、手元の機械にどれだけ余裕があるかの話につながります。
自分の机でやるなら
NVIDIA は RTX Spark について、最大 128GB の統合メモリで最大 90GB の 3D シーンを扱えると説明しています 28。同じ説明の中で、OptiX や DLSS といった RTX 独自の機能がレイトレーシングのビューポートを素早く動かす、とも書いています 29。
Blender については、公式が Windows on Arm に対応していると書いています 30。NVIDIA は、Blender に DLSS 4.5 Ray Reconstruction を加えるのは RTX Spark とともに今秋だと発表しています 31。日本語のブログでは Blender 5.3 に搭載予定とされていて 32、あくまで予定です。作例のツールが RTX Spark 搭載機でそのまま動くという話ではないので、動かしたいツールの対応環境は、公式で確かめてから選んでください。
RTX Spark 搭載機の例です。
まだ注文の窓口が記録されていません。
まだ注文の窓口が記録されていません。
シーンをぐるぐる回して形を確かめる場面が多いなら、3D マウスのような入力デバイスも候補になります。
次に読む
AI が3D の世界を組み上げる別の方向なら、遊べる世界をエージェントに作らせる作例も同じ「頼み方」の続きとして読めます。Blender の仕上げのコツは、先ほどの AI エージェントに Blender を任せる記事 へ。
