AI エージェントに Blender を操作させ、3D モデルにアクセスポイントを置いてもらう。PC Watch の清水理史氏が営業の場面を想定して組んだデモの一幕で、想定された営業社員の依頼の言葉は「APを2台にして」です 1。
もうひとつは、生配信のあと、縦型の動画のプレビューが自動で作られ、修正の指示を返して仕上げていくシステムです。PC Watch の若杉紀彦氏が、生配信後に YouTube ショート向けの縦型動画を自動で作るシステムを自作しています 2 3。
清水氏は ASUS ProArt P16 を購入し、若杉氏は ProArt P16 を NVIDIA からの貸与で使っています 4 2。見どころは、ふたりがそれぞれ示した「手元でやること」と「クラウドの AI に任せること」の分け方です。
120万円払ってRTX Sparkノートを買った。で、AIエージェントで元は取れる? https://t.co/NGEejs1A2g #RTXSpark pic.twitter.com/tloJ2dsu8r
— PC Watch (@pc_watch) 2026年10月26日
清水氏:営業の場面の想定デモ
清水氏は ProArt P16 の 128GB 構成を自宅の次期メイン PC として購入し、購入価格は 124万8,000円と書いています 4。PC Watch の特集の見出しは、120万円払って RTX Spark ノートを買った、AI エージェントで元は取れるか、という趣旨です 5。
中身は、営業の場面を想定したデモです。顧客先での実績ではありません。
- Hermes が MCP 経由で Blender を操作し、3D モデルにアクセスポイントを 2 台配置してくれる、という流れ [[F285]]
- Hermes が PowerShell 経由で Windows Search を使い、ローカルフォルダの文書を探し出せる [[F313]]
- Hermes が PowerShell から COM 経由で Excel の値を変え、マクロで自動採番と見積書の PDF 出力を実行できる [[F314]]
ただし、全部を手元で回したわけではありません。清水氏は、一部の操作(オフィスの 3D モデル、スキル用コード、Blender 用コードの作成)にクラウドの ChatGPT Work を併用したと書いています 6。理由は、すべてを Hermes とローカル LLM に任せると時間がかかりすぎるからです。不可能ではないものの、使った Hermes と Qwen3.8-27B の構成を標準設定のまま使った場合の話だと書いています 7。
速度の記述もあります。Qwen3.8-27B などでは、出力はせいぜい約 15token/s で、最初のトークンが出るまで推論ありで 6 秒前後、なしなら 0.9 秒ほどです 8。速さを求めるなら Qwen3.6-35B-A3B が個人的におすすめで、最低 50token/s ないと非常にストレスがたまる、とも書いています 9。
そのうえで、清水氏は分け方を自分の言葉で書いています。仕事の工程全体の短縮と品質向上を考えると、複雑な処理や事前に準備できることは ChatGPT や Claude を使った方がいい 10。一方、簡単な外部アプリの操作、ファイル検索、定型的な Excel 操作は、ローカルでの実行に向いている 11。
若杉氏:開発はメイン PC、実働は RTX Spark
若杉氏の切り抜き自動化は、作る場所と動かす場所が分かれています。開発はメイン PC、動画編集の実働は RTX Spark でやると指示し、ローカル LLM にはすでに入れていた Qwen3.8-27B を使ったそうです 12。連載「配信修行僧」の見出しは、RTX Spark でローカル AI が切り抜き動画を自動作成、たった 3 日で作ったシステムの中身、という趣旨です 13。
【配信修行僧】RTX SparkでローカルAIが切り抜き動画を自動作成、たった3日で作ったシステムの中身 https://t.co/NkrrLBc8AM pic.twitter.com/cp7enP8gMm
— PC Watch (@pc_watch) 2026年10月22日
- 設計: 標準的な Hermes と Qwen3.8-27B の組み合わせではチャットでも遅いと感じる場面が多く、さくっと開発したかったので、機能の設計は別 PC のクラウドの Claude で行った [[F321]]
- 文字起こし: ffmpeg で動画から音声を取り出し、whisper.cpp で全編を文字起こしする [[F322]]
- 笑い声と笑顔の手がかり: 音声に sherpa-onnx、映像に MediaPipe を入れた [[F323]]
- 話題の分割と点数付け: RTX Spark 上の Hermes(のローカル LLM)が、文字起こしを話題ごとに区切り、45〜70 秒ごとに面白さを点数付けする [[F324]]
- 選んで動画に: 7 点以上を 3〜5 本選んで動画にする [[F325]]
- 修正の指示: Telegram のボット経由で、スマホからも出せる [[F326]]
毎回 Hermes が作業するわけではない点も重要です。定型的な作業は、Claude が書いた作業ごとの Python コードが実行し、Hermes は必要なときだけ、筆者と各 Python コードの橋渡し役として動いています 14。話題の分割と点数付けは、先ほどのとおり RTX Spark 上の Hermes のローカル LLM が担います 15。若杉氏自身は、やろうと思えば今回の機能は Hermes を使わずに実現でき、ある意味、無理やりワークフローに Hermes を組み込んだ形だと書いています 16。
所要時間も具体的です。4 本のプレビューができるまでが約 30 分で、内訳は文字起こしと話題の分割が約 6 分、見どころ選びが約 6〜7 分、プレビュー作りが 1 本あたり約 3 分です 17。修正を経た本番の書き出しには、1 本あたり約 5 分かかります 18。
AI が作った内容のうち、ざっくり 7 割はそのまま使え、残り 3 割に修正指示を出す、というのが筆者の感触です 19。3 日でシステムが完成し、筆者はコードを 1 行も書いていないとのことです 20。一方で、Telegram 経由の会話はログが膨らみ、1 通で 8万トークンを読み直して約 3 分待つこともありました 21。これには、ツールの出力を会話に流さず、返信ごとに会話を新しくするプラグインを作らせて対処しています 22。
ふたりの分け方
清水氏は、複雑な処理や事前に準備できることはクラウドの ChatGPT や Claude を使った方がいいとし 10、簡単な操作・ファイル検索・定型的な Excel 操作は手元に向くとしました 11。若杉氏は、開発はメイン PC とクラウドの Claude、動画編集の実働は RTX Spark、と分けています 23 12。
場面も筆者も別ですが、どちらも作る・準備する部分はクラウドの AI に任せ、手元の RTX Spark では決めておいた手順の実行を中心にしています。ただし若杉氏の場合、話題の分割と点数付けはローカル LLM が受け持っています 15。Hermes の組み込みについては「無理やり」とも書いています 16。
では、高額な機を買う価値はあるのか。清水氏の結論は、現状はまだ用途が限られるし、どちらかというと実験的な意味合いの方が強い、というものです 24。個人的には、現段階での実利を取るなら、既存のクラウドサービスに 100万円課金するという選択もあると思う、とも書いています 25。いろいろなピースがぴったり合うには、もう一世代の進化が必要ではないか、というのが正直な感想だそうです 26。判断の材料として、そのまま受け取ってください。
動画生成は、待ち時間とセットで
きゅうすさん(@Ai_Quse)は、Surface Laptop Ultra で MiniMax H3 の動画を生成した記録を投稿しています。
Surface Laptop Ultra レポートVol.3💻
— きゅうす のAIとつれづれ (@Ai_Quse) 2026年10月26日
ついにノートPCで動画生成!
RTX SparkのVRAM割当は、NVIDIAアプリから最大95.5GBまで設定できました。
MiniMax H3で1920×1088・10秒の動画を生成。完成まで76分。
時間はかかるけど、このサイズの動画をノートPCで作れるのは凄い!
Qwen3.8… pic.twitter.com/pWYD9HDTi1
本人によれば、NVIDIA アプリから RTX Spark の VRAM 割り当てを最大 95.5GB まで設定できたそうです 27。MiniMax H3 で 1920×1088・10 秒の動画を生成し、完成まで 76 分かかったと書いています 28。
消費電力は、Qwen3.8 4bit と H3 の動画生成のどちらも約 90〜100W だったとのことです 29。ファンはほぼ全開でしたが、60 分の連続生成中も GPU 温度は約 70℃で安定していたと本人は書いています 30。これは本人の環境での記録だと、きゅうすさん自身が注記しています 31。
買う前に確かめたいこと:Arm の壁と機種の制約
ふたりの記事には、Arm ならではのつまずきと、機種ごとの制約も書かれていました 4 2。
- Blender 5.2 LTS の Arm 版は CUDA サポートがなく、レンダラーで GPU を選べない [[F294]]。清水氏は GPU 使用を優先して x64 版を使った [[F295]]
- Blender の MCP サーバーの依存パッケージ(cryptography)が ARM64 版で使えず、x64 版の Python 環境を用意した [[F296]]
- OBS は動くには動くが、Windows on Arm ネイティブ対応は検証中扱いで、スクリプトとハードウェアエンコーダには非対応(若杉氏)[[F333]]
- ProArt P16 は NPU を載せるが Copilot+ PC ではなく、Studio Effect、Recall、フォトアプリの超解像は使えない [[F318]]
Mobile01 も、特定の専門ソフト、外付け機器、開発ツールを使うなら、購入前にネイティブ対応や動作を確認するよう強く勧めています 32。動かしたいツールの対応環境は、買う前に公式で確かめてください。
切り抜きのように、動画の素材を手元に溜めて回すなら、置き場所もあるとよいでしょう。
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次に読む
メモリ容量で迷っているなら、RTX Spark のメモリ容量を各誌の実測で比べた記事へ。エージェントに 3D を任せる流れは AI エージェントで Blender の 3D を動かす、動画をローカルで量産する流れは ローカルの動画工場で読めます。
